湧き水が流れて路面が濡れている左コーナーを立ち上がろうとした時、前方より幅広の大きな乗用車が真っ直ぐ向かって来るのが目に入り、ぶつかると思ったと同時に反射的に前ブレーキをかけてしまい前輪が滑って転倒した。
左側に倒れた二輪車はそのまま道路の中央付近まで滑っていき、相手方の車に前輪のフォークを轢かれて跳ね上がりバンパーに後輪が接触、踏み越えて行った車の前輪から後輪にかけて右側面の下側を傷つけた。
二輪車に搭乗していた自分は、左側に一回転して立ち上がり、進行方向と逆に向いた二輪車を起こしてコーナー内側の路肩に寄せた。転倒の際足をついたらしく、左足首が痛かったが骨に異常がある様子ではなく、左膝から背中、肩にかけて、衣服はすり切れ、手袋にも穴は空いていたが外傷は無かった。
二輪車を引き起こして路肩に寄せている時、車から降りてきた運転手が、「体は大丈夫ですか?」と声をかけてきたので、「大丈夫みたいですよ。」と返事をすると、「保険で対応するので、保障の事は保険会社の人と交渉してください。」と言ったので、連絡先だけ交換して、その後事故については何の話もしなかった。
携帯が圏外で連絡が取れないので、同行していた仲間が引き返して警察を呼びに行ってくれている間に、二輪車を応急処置して自走できる状態にし、一時間程してから到着した警察に別々に事情聴取された。警察の話では長野市側で受けたので来たが、この場所の管轄は白馬村側の大町署なので、物損なら現場検証するが、人身扱いにするなら大町署から来てもらわなくてはならないし、行政処分になる可能性があると言われ、怪我の方も大した事は無さそうなので、物損事故として処理してもらった。事故の内容は管轄の大町署に送るので事故証明はそちらから発行されるが一週間程かかるとの事だった。
一通り検証が終わって引き揚げる際に警察が道路の中央付近に残っていたキズを見つけて、「このキズは何ですか?」と尋ねられたので、「ここで車とぶつかったんですよ。」と答えたが、「ここで倒れたのではないんですか?」とそういう認識であった。
早急にこちらが任意保険に加入している三井住友海上㈱に連絡したところ、7月20日に担当の植原正氏から連絡があり、進路妨害でこちらの過失が100%になるだろうとの話であった。事故証明も出ていないのに全面的に悪いと言われても納得がいかないのでよく話を聞くと、相手側は、「バイクが来るのが見えたが、そのままいけば無難にすれ違えるだろうと思っていたら、転倒したので避けようとしたが、バイクが滑って来て避けきれなかった。」
と言っており相手側の保険会社は待機しているとの事だったので、現場の写真を持ち出して、警察の現場検証の結果で道路に付いたキズの位置が、半分より向こう側に入っているのであったのなら仕方ないが、避けようとして真ん中あたりだったのなら、避ける前はもっと右側だった訳で、こちらの進路を妨害していた為に転倒したのだと主張し、植原氏を説得した。その旨相手側に連絡し、その後の損保ジャパン㈱側との交渉でも相手側は全面的に過失は無いとの主張であり、自宅に聞き取り調査に来た株式会社損害保険リサーチの白河泰雄氏も同様の回答であったとの事であるが、いかんせん自分の不利な事を言う筈も無い当人の話を聞いただけで現場の確認もせず何の根拠もなしに、こちら側の全面的な過失であると言われても到底納得できるものではなく、8月22日に路面に残っているであろうキズの位置を自分で確認しに行った。
バイクが車に轢かれた時に前輪のセンターシャフトの先端がアスファルトを削って路面に付けた傷は、道幅を6mとした場合のちょうど中央であり、前輪の先端は中央より出ているが、バイクのフォークを踏んだ車のタイヤはこちら側に入っていた事になる。従って左に避けようとしてこの位置であったなら、避ける前は道路中央を越えて右側に侵入して走っていた事は明白であり、 相手方からコーナーへのアプローチで内側の道幅が狭くなっていた事と、道路の左側が荒れていた為に、それを十分に避けて運転していた場合、一旦左側にハンドルを切らないとキープレフトが難しい道路の状況であった事を考えると、そのまま無意識にコーナーに侵入したとしたら、こちら側の進路を妨害して正面から直線的に向かって来る事になったはずである。
弱者優先の道路交通法上では自動車より二輪車の方が優先であり、運転車のマナーから言えば、降りの車両が安全を確保して登りの車両に道を譲るべきであるのに、車線のない峠道で、前方より向かって来る二輪車を確認していたにも関わらず、優先であるはずの登って来る弱者に対して、恐怖心を与える様な危険な運転で優先車の妨害をした事を運転者は自覚していなかったものと思われる。運転者が自覚していないからと言って過失が無い訳では無く、危険な運転を当人が自覚していない事自体が大きな過失ではないだろうか?
あいにく当方は車両保険に入っていませんので、保険会社としてはこちらの過失を100%にして損害金額を小さくしたいのは十分に理解しております。
事故の翌日に24時間受け付けに連絡いたしましたら、三井住友海上㈱の方からは翌営業日には相手方に電話にて聞き取りを行ったそうですが、損保ジャパン㈱からは当方には問い合わせはありませんでした。
過失がない場合には等級に影響はない事を当事者が知っていたかどうかは別にして、速やかに保険会社に連絡しなかったのであれば、本人に何かやましい所があり、あわよくば自分の過失を隠匿しようとする意思があって連絡をしなかったか、連絡があったにも拘わらず、保険会社の怠慢で聞き取りを行わなかったのかは知る由もありませんが、避けるのが可能な道幅があったにもかかわらず、道路の中央近くで転倒していた二輪車を避けられずに踏み越えて行く程の速度を出して、優先車に対する安全運転の義務を怠っていた事により、降りの自動車の不注意な運転から身を守る為に、登りの二輪車が危険を避けて転倒に追いやられたにも拘わらず、いい加減な調査の結果を基にして、転倒した二輪車が道路中央付近まで来ていたので、自動車側にはほとんど過失は無いと判断されましても非常に心外です。
こちら側に全面的な過失があるとすれば、止まっていた自動車に転倒して滑走した二輪車が接触した場合だけであり、転倒している二輪車を踏み越えて行ったのが事実である以上、弱者優先である二輪車の過失の方が大きいというのは、目先の利害ばかりに気を取られて、弱い立場の者を助ける「正義」とは無縁となってしまった保険会社の身勝手という他はありませんね。
それから、JAFの小冊子に書いてあったのですが、自賠法3条で、人身損害の場合は、被害者は加害者の運行によって人身損害が発生したことを証明すればよく、加害者の側で自分に過失が無かった事を立証しなければならないそうです。
|