ある日テレビを見ていると、大腸癌の特集をやっていた。
兆候が現れてから大腸が破裂するまでの経過が、最近の自分と酷似している。
原因不明の下痢や便秘に襲われ、排便後にすぐに行きたくなったり、
便が細くなってきて量が少なく残っている様な感じがある。
来週の月曜日に病院に行ってみようと思いインターネットで良さそうな病院を探してみた。
市内であまり大きくなく、良い機器を揃えていそうなので、籠原病院にする事に決めた、
その週の土曜日の朝に便秘になり出なくなった。
その夜の送別会では、少し目まいがしあまり食欲がない。ご飯物は弁当にしてもらったが、
持って帰っても食べる気がしなかったので、少し味見をして冷蔵庫に入れた。
日曜日しか休みがないので、床屋に行き入院に備えて電気髭剃り機を買った。
24時間受付けるとホームページに書いてあったので、風呂から上がって
月曜に突然行くより話が早いだろうと思い、夜の10時過ぎだが病院に電話してみる。
優しそうな看護婦さんが出て、「どうしました?」との問いに昨日から便がでなくなり、
お腹が張っている感じがする事を言うと、暫くして
「預かり金として一万円必要ですが、先生が診てくれるそうなので来れますか?」
との事なので、30分位で行きますと答えた。
一応入院に備えて必要な物は車に積んであったが、
出発してすぐ携帯電話の充電器を忘れているのに気付き取りに戻る。
病院に着いて、会社の先輩に連絡しようとしていたら病院の入り口に看護婦さんが現れ、
ドアの鍵を開けて中に入れてくれた。
待合室で問診票を手渡され書き終わったので、病院内の公衆電話から先輩に連絡していると、
先生が通り過ぎて診察室に入って行き、「居ないじゃないか!」と怒っていた様な気がした。
看護婦さんが呼びに来たので、一緒に入り状況を説明すると、お腹を触ってみて、
このぐらいなら大丈夫だから、今は検査もできないので病院の開業時間内にまた来る様に言われ、
診察は終わった。
病院を出る時、看護婦さんに預かり金の一万円を渡すと
「預り証を持って来ますから待っていてください。」と言って診察室に入って行った。
コートのポケットにヒットソングCDが入っていたので、預かり証と引き換えに
「これ音楽だけど聴いてみてる?」と言って手渡すと、喜んで受け取り診察室に戻った。
後ろで纏めた長い髪が印象的だった。とりあえず安心して病院を出て家に帰ったが、
なかなか寝付けなかった。
次の日早めに会社に行き午前中半日有給にしてもらい病院へ行く。
緊急入院に備えて病院に入る前に先物取引のUSS証券に電話して建玉を全部仕切ろうとしたが、
担当者は不在との事で代理の人が、
「灯油とガソリンは鞘取りになっているので、驚く程にはならないと思いますよ。
金は利益が出ているので、これだけ仕切る事をお勧めします。」との事なので、
そうした。
内科の受付を済ませ待合室で待っていると、マスクをかけた見覚えのある後ろ髪が診察室に入って行き、
暫くして出て来て、二階へ上がる階段へと消えて行った。
名前を呼ばれたので奥の診察室へ入ると。院長らしき医師が深刻な顔で待っていた。
大腸癌かも知れないと状況をすると、とりあえずレントゲンとCTスキャンでの検査をする事になった。
血液検査をしてからレントゲン室へ行き、お腹を前や横から3~4枚撮影する、
その後CTスキャン室に移りベッドに横になる。最新の16ヘッドヘリカルCTスキャンは静かで早い。
検査を終えて待合室で待つ事30分位か、呼ばれたので検査結果を聞きに診察に入ると雰囲気が妙に明るい。
CTスキャンで撮影した画像をパソコンで見せられ、笑顔で
「良かったですね、血液検査の結果では癌の反応はありませんし、
この画像を見ても腫瘍の様な物は見当たりません。癌の場合はガスが発生したりしますが、
その様な兆候も見当たりませんし、ただ肝臓が大きいですね、脂肪肝にの兆候があります。
すい臓も肥大化してしている様でその影響で便が出難いのかも知れません。
便を柔らかくする薬を出しておきますが、念のため大腸を内視鏡で検査させてもらえませんか?」
との事で、4日後に大腸内視鏡検査をする事になった。
ひとまず安心し、自動販売機で、スポーツ飲料を買って飲んだ。
受付で支払いを済ますと、昨夜看護婦さんに手渡したCDも一緒に返された。
つづく!
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